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テニス肘、上腕骨外上顆炎の本質とは? |
私の考える テニス肘、上腕骨外上顆炎の本質とは?
以下はプロ向けの内容です。整形外科医の皆様、よろしくお願いします。
日整会誌 86 (3) 2012 S327に
聖マリアンナ医大 整形外科 別府 諸兄先生は
テニス肘の病因として
骨付着部症(enthsopathy) 、
伸筋群起始の断裂、
骨膜炎、
側副靭帯や輪状靭帯の刺激、
滑液包炎、
滑膜炎、
滑膜ひだ、
虚血性壊死、
石灰化、
橈骨頭の離断性骨軟骨炎
を上げられています。
一般の方には難しいですね。
日整会誌 86 (3) 2012 S629 に
札幌医大の大木豪介先生が
関節鏡視下手術を行い
難治性テニス肘、上腕骨外上顆炎で
上腕骨小頭の軟骨損傷65% 橈骨頭の軟骨損傷82% ともに外側。軟骨損傷は軽症が多い。
高年齢が橈骨頭軟骨損傷と相関。
を観察されています。
また
難治性テニス肘、上腕骨外上顆炎では
MRIで観察すると、伸筋群の付け根に浮腫があり、肘関節水症がみられることが多いとういう事実があります。
従って 私は
純粋に筋だけに起こるものと、
肘関節炎から起こるものと二つあり、
どちらも、周囲の筋、神経に影響を及ぼし
トリガーポイント(痛点)を作ってきて、両者が慢性疼痛化すると考えています。
ですから
まず 難治性テニス肘、上腕骨外上顆炎では
関節症としての保存療法の徹底が必要です。
肘の回外過伸展では、橈骨頭と、外上顆、上腕骨小頭が、外側で衝突し、関節炎、軟骨損傷を起こします。
内上顆にも牽引緊張がかかり、内上顆での起始部の微小損傷による痛みの原因にもなります。
このメカニズムを知り
さらに神経と筋によってできるトリガーポイントへの対応が必要だと思います。
付着部炎といわれますが、起始部にはトリガーポイントができやすい。
ECRBを中心とした伸筋群で、起始が外上顆ですし、その遠位、外上顆遠位4-6cmのmotor pointにも、トリガーポイントができる。
ECRL BRにもTPはできます。前者は、外上顆遠位7-8cm、後者は肘伸展して、肘前面の肘関節から2cm遠位の範囲です。
さらに、肘近位の三頭筋や上腕筋(筋皮神経)、内上顆にも
トリガーポイントができます。
ECRB起始だけを考えていては、テニス肘、上腕骨外上顆炎への対応としては、不十分だと考えます。
病名にあてはめをしないで、その患者さんに起こっている病態をていねいに探る必要があります。
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